あたしが隣席に座ったことに気づいた妻はイヤホンを片側外して、わたしの耳の中にそれを入れた

あたしはきちんと酔いしれるようにイヤホンを入れ直し、妻に向かって笑った。

「あたしが常に聴いて要る抱腹絶倒曲。不相応で、あたしを平然とでも、活かしてくれている曲。が……ここにはたくさんある」

 妻が「平然と」という物言いを使ったご時世、さぞかし妻は、あたしよりも前から何かを諦めて身辺をやり過ごすようにして生きてきたんじゃないかという気がした。

 イヤホンから流れたその曲は、妻の言う通り不相応だった。iTuneに入れた曲でも聴いているのかと思ったら、妻はYou Tubeで映像を観ながら聴いていたようで、あたしが曲を聴いているのを邪魔しないみたい無言でそっとiPhoneのスクリーンを見せた。

 瞳をむき出して歌うダディのカタチに驚いて、たいていこういう時にも「え! まじ!?」と、自分が驚いた当たりよりも大げさにいうべきなのかと思ったけど妻に対してはその無用ように感じられた。

 あたしは片耳にイヤホンを着けた通り、思った通りに言った。

「この人、瞳をむき出して歌うんだね。こわい。それに曲も良いんだか悪賢いんだかよくわからないや」

 言った後に、思った通り言い過ぎて妻の気分を害したのではないかと不安になって、妻の面持を見た。

「初めはピンと来なくても、好きになるかもしれないから何度か聴いてくれないかな。この人の曲、ウェブサイトにたくさんあるから。あたしはCDも持ってるけど、酔いしれる前はネットでいいとおもうよ」

 そんなふうに話す妻の瞳が真剣だったので、あたしは妻の言う通り何度か聴いてみようと思った。

 数日して、あたしは母親の自分や父親の自分としか認識できなくなっていたクラスメートらが別個個別認識できて、周囲にほんのりキモチが持てるようになっていた。

 とはいっても、誰が今日は欠席なのか気にかけるようになったくらいの変貌だけれど。

 そんなふうになってから意地悪にも、妻は絶えずアカデミーに出て来なくなった。あたしは妻の出欠を気にかけた。

 1度しか妻と過ごせなかったブレイクタイムを、妻の教えてくれた曲を聴いて過ごした。家でもiPhoneやPCで、妻の教えてくれた人のページビューを大勢観て、聴いた。

 歌って要る映像だけじゃなくて、しゃべっているのもあった。

 直感路地、その男性は何だか抱腹絶倒クライアントだった。あたしはわたしのことをおかしな自分だと思っていたけど、それ以上におかしなクライアントがいるのなら、この世界もいいかな、という気持ちになっていた。

 そのことを妻に伝えなくちゃ。

「まじ!? 素晴らしいじゃん」って、本心から授けなくちゃ。

 でも妻には、もはや出会うことができなくなった。

 あたしは今回、今回……妻のイベントだった卓の上に置かれた、誰かが卓の片隅にぶつかれば倒れてしまいそうなか細い透明の花瓶とその向こうに言える、秋の空を見ている。

 秋の空が極めて奇麗です。

 わたしの感は、今までと違ってきちんとやる。

 了

*こういう図書は、神聖かまって正しく言うバンドの『知り合いなんて取り除ける死ね』という曲にオマージュされて書いたものです。

『知り合いなんて取り除ける死ね』は、You Tubeで検索すれば聴けるはずです。聴いてみて頂けると、神聖かまってちゃんファンのあたしとしては大いに嬉しく思います。duoクレンジングバームのお試しはあるの?

3年生になって種別替えがあり、主人とはおんなじ種別にならなかった。

秋の遠足の頃、心臓の悪い主人は途中から担任の淑女のドクターに負ぶわれ、青白い顔付きをより青くしていた。息吹も荒く、辛みたいだった。誰もがぱっと瞳を逸らしたが、我々は見ていた。

 その後もおんなじ公立中学校に上がったがおんなじ種別にならなかったので主人のことを確かめることは少なくなり、また主人の人名を誰かから訊くということもなかった。

 ところが中学校3年生のいらっしゃる放課後、忘れ物をして講習に戻ると、主人の人名を口にしウソ話をする同級生の男性ふたりがいた。我々は講習に加わるのを躊躇って、根源来た縁側を帰りた。

「霊が当てはまると言っては人の意思を引こうとやるらしくてさ」

 その時聞こえた主人に関するウソを3日光ほど意思にし続けた。

 

 3日光経った後々、我々は今の主人が見てみたいと思った。すれ違う態度くらいあっただろうに忘れていた主人が今日どんなふうに成長しているのか、それを知りたかった。

 主人がいつの種別なのかは、ウソ話を聞いてしまった時に「何組織の誰々って……」と言っていたのを聴き、知った。

 昼休みを選んで、トップ尖端の自分の講習から背部の尖端の講習です、主人の掛かるはずの講習に向かって我々は歩いた。

 主人の講習の前にたどり着くと、開いたままの入口から主人を見つけ出すまでも無く、主人は講習から勢い良く飛び出して現れる店だった。

 我々よりも丈のちょっと低主人が、立ち止まって我々を見上げた。

 主人の髪は明らかに自分でセットしたのではなく誰かにやられたのであろう、前髪のうちのほんの一部だけが整髪剤で上方に向かって固められていた。

「妖気。妖気」

「まじ、乗り越える」

 講習の外部まで、インナーの笑い声やはやし立てる意見がはみ出してきた。

 我々は、主人に何か意見をかけようと思った。我々にいくコツを阻まれる形で立ち止まり、固められた髪を下を向いてぐしゃぐしゃに掻く主人に何か優しい言葉を。

「あのさ」

 我々は言った。アヤナスの口コミ情報はこちらです